私がミリPを辞めた日

こんにちは、氷雨です。
今、目尻に涙を浮かべながらこれを書いています。

想いの強さに対して行動が伴っていないことへの哀しさ、苛立ち、焦り。
例えるなら「愛し合って」いるのに、お互いのために別れを選ぶことを決めた熟年夫婦のようなものかもしれません。今日はそんなとあるミリPのお話をします。


2013年、秋
私がIDOLM@STERと出会い、プロデューサーになった頃です。

正確にはもう少し前からアイマスの存在は知っていました。私はニコニコ動画の草創期から全盛期に中高時代を過ごしたニコ厨です。β時代にアカウントを作り、当時のそこは無法地帯ではありましたが、同時に名もなきクリエイター達の楽園でもありました。


組曲やMADやまとめ動画などを漁るうち、いつの間にか耳馴染みになっていた曲の一つがIDOLM@STERの楽曲だった、と知るのは相当後になってからでした。

そんな折、ライトなアニメオタクだった当時の私は、その頃付き合いのあったとある先輩Pの勧めもあり、アニメ版IDOLM@STERの再放送を観ることにします。


私はどんどんと心を動かされ、気付いたらその頃は就活真っ只中であったにも関わらず、公開されたアニメ『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ』を観るために一人で劇場に向かうことに何の躊躇いもないほど沼に落ちていました。

その劇場のスクリーンで出会ったのが、北沢志保でした。


程なくして就活を終えた私は、アイドルマスターミリオンライブ! に足を踏み入れていくことになります。無印・本家の「アイマス」13人もいるゲームだし遊んでみよう、と軽い気持ちでGREEのゲーム(通称グリマス)にも登録しました。

無印・本家のアイマスにのめり込んでいた私は、アルバムを借りて過去の膨大な楽曲を聴き、13人のキャラクターと演者のバックボーンを調べたりしていました。


2014年、秋
私がミリオンライブ! のプロデューサーになった頃です。

そんなにハマっているならと、先述の先輩Pの勧めで、私はM@STERS OF IDOL WORLD!! 2014(通称MOIW2014)のライブBDを購入して観ることにしました。


そこで出会ったのが雨宮天さんであり、北沢志保でした。
震えながらも懸命に、堂々とステージに立つ姿。声の限りに、魂をぶつけるように歌い上げる様子。そして美しく気高くも、まだまだ不完全で未完成だった少女。

私の心は大いに震えました。雷に打たれたように「この子だ、この子を応援したい!」と直感が叫んでいました。その日から、私は北沢志保の担当Pでした。


2015年、春・夏
社会人としての生活をスタートさせるのと同時に、MOIW2014のライブBDで心を動かされた私は、積極的に「ライブ」に足を運ぶオタクに変わっていました。

THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 2ndLIVE ENJOY H@RMONY!!』(通称ミリオン2ndライブ)へのLVでの参加を皮切りに、『M@STERS OF IDOL WORLD!! 2015』への念願の現地参加を果たしながら、ミリオンへの愛着を確実に深めていきました。


2016年、春
THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!』(通称ミリオン3rdライブツアー)にも再びLVで参加したわけですが、その千秋楽・幕張公演Day2は、私の人生史の中でも1、2を争うほどの最高のライブでした。

ミリオンはいつしか私の「居場所」になっていました。数あるアイマスシリーズの中で、無印でもシンデレラでもなく、私はミリオンライブのことが大好きでした。


コンテンツが始まって間もない頃から応援ができたこと。
演者の皆さんが私と同世代で感情移入しやすかったこと。
どの演者の方も美しく、楽曲がバチクソに強かったこと。

何より作り物めいたわざとらしさがなく、けれど演者の皆さんから感じるキャラクターと作品に対する愛情の深さ。そしてそれぞれが織り成す成長と飛躍の物語。


色んな理由があったと思います。雨宮天さんがいらっしゃったということも、もちろん大きな理由であったことは疑いようがありませんが、とにかく私は39人(ないし52人)が深く固い絆で結ばれていたミリオンライブが大好きでした。

だからこそ、本家本元だったグリマスのサービス終了はとても寂しかったですが、『アイドルマスターミリオンライブ! シアターデイズ』が新しく始まって、気持ちが途絶えることなく、深く愛情と情熱を傾け続けることができました。


2018年、春
ゲーム内の企画で『THE@TER BOOST!』という投票企画が行われました。担当に仕事(役)を取ってこよう、といういわゆるアイドル対抗選抜総選挙企画です。

前年、グリマス時代に行われた『TH@TER ACTIVITIES』に続くシリーズで、プロデューサーとしては文字通り担当アイドルの活躍を自分の手で掴めるお祭りでした。


ところが、「TA」に続き「TB」でも、私の担当アイドル北沢志保は惜敗を喫しました。どちらも最後まで結果が縺れるデッドヒートを繰り広げた末の敗北でした。

この二連敗、悔しくて悔しくて仕方がありませんでした。担当Pとして力が及ばなかったことがもどかしく歯痒く、志保に対して情けない気持ちでいっぱいでした。


同時に私は思いました。私は志保に対して本気でいたのか。
本気でプロデューサーとして向き合っていたのだろうか? と。

そのように感じていた同担志保Pは多かったようで、いつか来るであろう「TC」での勝利を確実なものとすべく、担当有志が集まって志保の魅力をアピールする企画を立ち上げることになりました。


それが月刊少女北沢志保、通称『志保の日』でした。
2018年4月4日(4/4=しほ)を皮切りに、毎月4日を志保の日と定めてハッシュタグを作り、テーマを出し合いながらそれに沿った志保の魅力をTwitter上で喧伝しました。

スタートが完全に内輪での企画だったこともあって当初の知名度は低く、同担以外にはなかなか広がらず、当初の参加者はあまり多くはありませんでした。

それでも継続して行っていくことで、本当に少しずつ、少しずつ参加してくださるプロデューサーさんが増えていって、嬉しく感じたことを今でも思い出します。


僭越ながら、志保の日の「編集長」として企画に携わった一年は、自慢とかではありませんけど、誰よりも志保のことを考えていた一年だったと思います。

その甲斐もあって、翌年行われた「TC」では紆余曲折ありながらも、一致団結して無事に役を掴むことができました。志保Pにとって、三度目の正直でした。


2020年、夏
ゲーム内シアターイベントにて、約3年ぶりに担当上位イベントが来ました。
詳細はこちらの記事で触れているので、よろしければご参照下さい。

icerain.hatenablog.jp


このイベントを走り切った後、私は燃え尽きを感じるようになりました。
たぶん一年単位で、しばらく担当上位イベントは来ない。マンネリ化してユーザーの減ったゲーム。周年ライブも延期され、次にいつできるとも分からない状況。次第にミリオンライブに対するモチベーションを保てなくなっていました。


しばらくは何とか最低限度のデイリーミッションだけこなす毎日を送っていた私に、追い打ちをかける出来事がやってきます。それは『絵本』志保のガチャでした。

このカードは限定ではなく、新規恒常SSRでした。つまり、このピックアップ期間に引かずともいつかは引けるし、最悪後々になって買うことのできる「担当を指定して引ける」プラチナチケットの購入によっても入手できるカードでした。


私は他のPさんに対して「担当の上位カードを持っていなければ担当を名乗る資格はない」なんてことは全く思いません。愛があれば等しく担当だと思います。

ですが、私は自分に対してはそうは思えない性分でした。

特にこのカードは志保の想いが詰まった楽曲「絵本」に纏わる追加カード。
当然、志保のバックボーンに繋がる重要なエピソードが垣間見えるものであるはず。


いち早く入手してそれを見届けることは、担当Pとしての私のちっぽけな「誇り」であり、ミリPとしてこのゲームを続ける「心の最後の砦」でもありました。
結果は無残なものでした。結局、志保のSSRは入手できませんでした。



私はこの日を境に、ミリシタへのログインすら覚束ない日々を送るようになりました。言い訳をするのであれば、一人暮らしを始めるための準備に忙しく、ゲームにかまかけてる暇がまるでなくなった、という環境の変化もありました。

そんな折に先日無事に開催されたのが、今回の『THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 7thLIVE Q@MP FLYER!!! Reburn』(通称ミリオン7thライブR)でした。


私は自分のミリPとしての情熱が再び甦ってくれることに期待していました。半ば祈っていたと言ってもいいかもしれません。自分の中の何かを変えてほしかった。

そんな気持ちで訪れた約二年ぶりのLV。見届けることのできた7thライブ。それは期待とは裏腹に、私にミリPとしての「潮時」を決定付けるものになりました。


「最高だった!」と口々に呟かれるTLやブログの感想を眺めながら、私は少数派にいました。セトリに対する不満と解釈の不一致を拭うことはできませんでした。

アイマスにおける初めての野外ステージ。キャンプというコンセプトの下に組まれた、今回のセットリストと演出。それに沿ったものになることは理解できます。


しかしながら、
意図的に外されたかのような「Fairy楽曲」の極端な少なさ。
「クレシェンドブルー」を揃えているのに、歌われなかった『Shooting Stars』
極めつけは、3rdツアー千秋楽から約5年ぶりの披露となった「絵本」を始めとするソロ曲を、敢えてソロではなく複数人で歌うという演出。


私には到底納得できるものではありませんでした。

二点目に関しては、でも『Flooding』歌ったじゃん、という声が聞こえてきそうですが、それは4thライブの時にシークレットながら達成されているわけですよ。

だったら、3rdツアーの折に4人までしか達成されていなかった『Shooting Stars』を、今回歌うべきだったのではないでしょうか。都会の喧騒を離れたキャンプ地の夜に見える星空、という意味でも、私はこちらの方が合っていると思いました。


三点目に関しては、志保が『絵本』を歌う、その相方に桜守歌織さんを選んだことに対しては、実は不満は一切ありません。このメンツの中で選ぶなら適任だ、とすら思いました。香里有佐さんのことも、私は心から信頼しています。

ただ、ソロ曲を複数で歌う意味、それを知りたいのです。
志保にとって大切な大切な「絵本」という曲を、誰かと共に歌う。その大きな意味を、きちんと定義づけてほしい。担当Pとして理解して、納得したいんですよ。


断っておきたいのですが、演者の皆さんは何一つ悪くありません。彼女たちのパフォーマンスは最高の、今できることを全て詰め込んだステージだったと思います。

同時に、最高だったはずのものを心から「最高だった!」と口にできない自分に、つまらないことで解釈の不一致を受け入れられない自分に、私は失望しています。


いつまでも担当アイドルに、志保に甘えてはいられないと感じます。
一緒にトップアイドルを目指して前を向けていない今の私には、担当プロデューサーを名乗る資格はありません。そんなのプロデューサーでも何でもないのだと。

自分なりに「けじめ」を付けるべきなのだと、思いました。


本当に、ミリオンライブのことが好きでした。
志保のことを、心の底から、愛していました。

だから私は、プロデューサーを名乗ることを辞めます。
本当に、好きだから。いつかまた前を向いて、心の底から胸を張って「俺はお前のプロデューサーだ!」と言える日が来るまで。


「さようなら、大好きな君へ」
しばらくの間は、誰でもない私のままで、見守ります。