レンカノを借りた話

こんばんは、氷雨です。
皆さんは「レンタル彼女」というサービスをご存知でしょうか?
彼女代行サービス、要するに恋人気分を味わえるサービスです。

「うわ、そんなの使ってんのかよ。きめえ!!!」という罵倒が聞こえてきそうですが、まあちょっと待って下さい。ひとまず話を聞いてほしい。
確かに30代異常独身男性ですから、キモいのは認めましょう。


しかし私なりに今後の人生を真剣に考えた結果、ちゃんと目的を持って利用すれば得難い経験になる。あくまで格好いい男になるための自己投資。
決して虚しさを埋めるためだとか、不埒な考えからでもない。

過去のトラウマと向き合い、男としての自信を得ること。女の子をちゃんとエスコートできる男になること。今後予想されるリアルリリイベや推しとの接近戦を前にしても堂々とした推しに相応しいオタクになること。


そのための経験を得ることが私の目的です。
一番格好悪いのは、周りや世の中を呪って何もしない事です。

男として生まれたのに女の子の一人すら幸せにできない人生なんて絶対嫌だ。
それは推しだろうとレンカノだろうと本当の彼女だろうと同じなのでは……?


そもそも私がレンカノを認知したのは『彼女、お借りします』という宮島礼吏先生の原作漫画が世に出始めた、2017~2018年頃のことでした。

おそらく初めての題材を使った恋愛コメディ、これは次に「流行る」作品になるに違いない!とオタクの野生の勘がびんびん来ていました。


もちろん番宣CMでヒロインの水原千鶴に声をあてていたのが声優の雨宮天さんだったことも、この作品に興味を持った理由の一つではあります。

ですが、当時の私はレンカノを実際に利用してみよう、などとは露ほども考えてませんでした。むしろ利用する男の気が知れないと思ってました。


「俺だって本気を出せば彼女くらい作れるわ!」
「ていうか実際はやばい商売なんじゃねーの?」
「お金払ってデートだけってコスパ悪すぎない?」

そう思っていた20代中盤が僕にもありました。

それから5年、天さんのオタクとしては何の悔いも残らないくらい、全力で推し事に励んできた自負はあります。一人のファンとして何ができるのか、どうしたら天さんに喜んでもらえるのかをずっと考え続けてきました。


それはこれからもきっと変わらないし、変えるつもりもありません。
けれど、たぶんそれだけじゃ、ここから先は自分の殻を破れない。

そう思った時、最初に述べさせてもらった考えに至ったわけです。
前置きが長くなりましたが、では本題に入っていこうかと思います。


   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   


詳細は伏せますが、利用したのは老舗かつ大手のレンカノ会社です。
色んな情報を集めて検討した結果、ここが一番「レンタル彼女」を斡旋する会社として研修が行き届いており、質がいいと判断したからです。

選んだ女の子はデビューしたばかりの新人の女の子でした。
仕事に慣れた人気の「プロ」感がある子よりも、この仕事に染まり切っていない子の方が、私自身も少しは緊張が和らぐかな?と思ったからです。


設定したのは都内某所を散策しながらめぐるカフェデート。
先ほど申し上げたレンカノ会社に登録し、いざ申し込み!

希望日程の調整が行われ、お互いに都合が合えば成立です。
相手の女の子からメールが入るようになり、簡単な自己紹介から始まって、当日までデートの打ち合わせや相談ができるシステムになっています。


会社のHPにはメル友としての使用は想定していませんと注意書きがありますが、想像以上にめっちゃメールが来ます。何だこれ、神対応か……?

相手の女の子に依るかもしれないので一概には言えませんが、少なくとも私が選んだ女の子はめっちゃメールを返してくれました。なんていい子。


何度かやり取りを繰り返しながら、遂に当日を迎えました。
緊張半端ない。推しのサイン会と同じくらい緊張したけど?

「今日の俺は格好いい、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ……。」
自己肯定感ゼロの限界オタク、必死に自己暗示をかけました。


ひとまず、こちらが指定した待ち合わせ場所に向かいます。
日曜の天気のいい昼下がり、結構な人出が街に溢れています。

お互いに格好を伝えていたので程なくして合流できました。

早速連れ立って移動開始。一応デートコースの動線は頭に叩き込んでは来たものの、オタクはオシャンなカフェの場所なんて馴染みがないのだ。


無事に迷わず到着しました、開始早々の失点は何とか回避。
お互いに気になっていた甘味を注文し、会話を楽しみます。
5分か10分で甘味と飲み物が運ばれてきます。うん、美味しそう。

「一口いかがですか?」
「あ、いいんですか? じゃあ、いただきます」


……や、いいのか!? 本当にいいのか!?!?
デートなんだからこれが普通、これが普通なんだよ……。

ありったけの平常心をかき集めて冷静に振る舞いました。
何の味もしなかったね。マジで味が分からん!!!


必死に捻り出してそれっぽい感想を口にしましたが、正直何て言ったか自分でも覚えてません。甘いか渋いか、温かいか冷たいかしか分かんない。

年齢=彼女いない歴の限界オタクを舐めんなよ……?(震え声)
脳内でパトラッシュが悲しげな顔をしていたような気がします。


意外にボリュームがあったので、思っていたより食べ終わるのに時間がかかりました。
想定時間をオーバーしていたので、会話もそこそこに退店。

散歩がてら移動しながら、気になるお店を見て回りました。
30分程度かけて歩くと、最終目的地の大きな雑貨屋さんを発見。


なぜか脳内を流れていく『ザナルカンドにて。』
最後かもしれないだろ? だから、全部話しておきたいんだ……。

いやいや、終わってどうすんだ。頑張れ俺。負けるな俺。
雑貨屋さんをゆっくり一回り。普段目にしないような物が沢山。


ここまでで予定時間に達したので、LINEを交換して解散となりました。
これで次回以降は直接デートの相談ができるシステムなわけですね。

やりおる……沼が深いぞ、これは……。
や、正直めちゃくちゃ満足度が高いサービスです。何これ、チョロい。


ゴミを見るような冷たい視線ではなく、終始好意的に接してくれるので涙が出るほど素晴らしい。リピーターになる和也の気持ちが分かったぜ……。

レンカノもかのかりも、全力で応援していきたいなと思いました。
もちろん自分自身もちゃんと成長していかなくてはなりませんが。

異常、じゃなかった。以上、レンカノ体験レポートでした!!!