君とのDistance

君とのDistance』はZARDの11thアルバムのタイトルです。ボーカル・坂井泉水さんが生前に遺した最後のオリジナルアルバムでもあります。

このアルバムには、名探偵コナンの第9作目の映画『水平線上の陰謀』の主題歌でもあり、TrySailもまた2016年6月5日に行われた3rdライブ『Smooth Sailing』でカバーを披露した『夏を待つセイル(帆)のように』が収録されています。


私の母はZARDの大ファンでした。デビュー初期から彼女の儚くも凛とした美しさと、紡ぎ出されるパワフルな歌声のギャップに魅了されたようです。

私が実家にいた頃、彼女の歌声を聞かなかった日はなかったくらい、毎日毎日来る日も来る日も、母と一緒にZARDの歌を聞いて口ずさんでいました。


ZARDのデビューと同い年の私は、坂井さんが亡くなられた14年前、当時高校生でした。学校から帰ると、テレビの前で号泣する母の姿がありました。

私は、母に掛ける言葉が見つかりませんでした。

好きな人が、応援する人が、かけがえのない大切な人が生きている。それは当たり前なんかじゃない、とても幸せなことなんだと子供心に感じました。



時は流れて、私にも心から応援したいと思う人ができました。
遠い日の記憶が、心に焼き付いているからなのかもしれません。応援し続けているうちに、私はその人に笑顔でいてほしい、幸せでいてほしい、と強く感じるようになっていきました。生涯、全力で応援し続けることを心に誓うくらいには。


面倒くさいオタクなのも、拗らせ過ぎていることも重々承知しています。
「生涯応援する」なんて、そんな簡単に出来もしないことを軽々しく口にしない方が良いと感じる方も、ひょっとしたらいらっしゃるのかもしれません。

けれど、どんなに後悔しても、伝えたいと願っても。
この世にいない人には会うことも、伝えることもできません。


好きな人が活動してくれている今この瞬間は永遠でも、決して当たり前でもないんです。同じ時間を過ごせることも、沢山の想いを届けてくれることも。

全部、奇跡なんです。だから私は、後悔したくないです。

伝えられるなら、ありとあらゆる手段でもって想いを形にして伝えたいし、伝える努力を惜しみたくない。それが彼女の幸せに繋がると信じてるから。



だからこそ、私は彼女の分身でもあり、彼女と出会うきっかけをくれた『北沢志保』に対して、全力を出せていない自分を赦すことができませんでした。

前回の「ミリP引退宣言」は、誰かに理解してもらおうなどという気は一切なく、自分自身の気持ちを整理するためのものであるのと同時に、言葉にして自らに発破をかけることで、ミリオンライブへの情熱を取り戻すための最後の賭けでした。


丸4日間のネット断ち、SNS自主謹慎を経て感じたのは、それでもやっぱり、志保ともミリオンライブとも別れたくない!という心の内なる叫びでした。

辞めたくないです、プロデューサーを。
諦めたくないです、志保と夢を掴む未来を。


ただ。
私にとっては必要な過程であっても、周りがどう感じるかという冷静な視点を欠いていました。完全に悪手だったと、今は記事の公開を後悔しています。

「強く握りしめすぎて 大事なものを壊してた」のは私でした。


あれを読んで、誰が喜ぶのか。
お前の好きな人は、あれを読んで笑顔に、幸せになれるのか?

自分に問いかけた時、答えは「NO」でした。
適切な距離感と、色んな人へのリスペクトを欠いていました。


多大なご心配とご迷惑をお掛けし、深く反省しています。痛恨の極み、忸怩たる思いです。何とお詫びすればいいか分かりません、申し訳ありませんでした。

けれど、一度口にしてしまった言葉は二度と戻りません。
それが責任を持つということだと思います。誠意で返していきます。


これからは、もう同じ過ちを繰り返さないよう「君とのDistance」を見詰め直しながら、また胸を張って応援できる自分に、担当Pでいられる自分に戻るために、そして自分を赦せる自分になるために、できることを少しずつやっていきます。

拝啓、十五の私へ
母も推しも泣かせないように、俺もっと頑張るよ
私より